【要注意】イベント時期に多い誤食・誤飲に注意

病気

こんにちは、放浪獣医師のハチです。

若い犬猫で特に注意が必要な誤食・誤飲について説明していこうと思います。

誤食・誤飲ってなに?

そもそも誤食・誤飲って何?

誤食・誤飲とは簡単に言うと食べるべきではないものを食べてしまうことです。

食べるべきでないものの代表的なものとしては

  • おもちゃや毛糸などの人工物
  • ブドウやチョコレート、薬など人が食べても大丈夫だけど犬猫が食べると危険なもの
  • 骨や歯磨きガムなど食べても問題ないけれど丸呑みすると危険なもの

などなど、上げたらきりがありませんのでまた別でご紹介しようと思います。

イベント時期に多い誤食・誤飲

人の心が緩むからでしょうか、年末年始や連休時期は特に誤食・誤飲に遭遇してしまう気がします。
イベント時期の獣医師誤食・誤飲あるあるを箇条書きしてみましょう。

  • バーベキューや焼き鳥の際に串ごと丸呑み
  • バーベキューの際にトウモロコシを芯ごと丸呑み
  • クリスマスチキンを骨ごと丸呑み
  • 誕生日ケーキを盗み食いされてしまいブドウが入っていたことに気づく
  • 新しいおもちゃを買ってあげたらテンション上がりすぎて丸呑み

これに今のコロナ禍ならではのものとして

  • 使い終わったマスクを置きっぱなしにして誤食
  • 布マスクを自作中にマスクのひもや生地、針を誤食

いずれにしても予想外のものも口にすることがありますのでものの出しっぱなしや食品にはよく注意してあげましょう。

誤食・誤飲をするとどうなるの?

もちろん食べたものによって異なりますが起きうることを箇条書きします。

  • 嘔吐・下痢など消化器症状
  • 食欲不振・廃絶
  • 元気がなくなる、ぐったりする
  • 異常興奮やけいれん発作、意識混濁などの神経症状
  • 腎臓や肝臓など臓器へのダメージ
  • 腸閉塞(腸に物が詰まること)や腸壊死(腸が腐ってしまうこと)

最悪の場合には亡くなる場合もあるので楽観視しないでください。

誤飲・誤食をしたときに絶対にしてほしくないこと!

インターネットで調べると誤飲・誤食をしてしまった時にする対処法として吐かせる手段がいくつか出てきますがそのうち絶対にやってほしくないことがあります。

  • 塩を大量に飲ませる
    食塩中毒を起こし元気消失や頻回の嘔吐、重症の場合には神経症状を起こし亡くなることもあります。
  • オキシドールを飲ませる
    食道や胃の粘膜を傷つけ処置により元気や食欲がなくなる可能性があります。

過去には動物病院内の処置でも行われていたようですが、現在はほぼ使われない方法になります。それよりも安全な方法が確立されてきたからです。

誤食・誤飲してしまったらまずはどうればいい?

まずはかかりつけの動物病院にご相談ください。動物病院の返答しだいではありますが、診察時間内であれば電話連絡後すぐに向かうつもりでいてください。かかりつけの動物病院が休診日や夜間で対応ができない場合にはできるだけ近くの動物病院に相談していただくことをお勧めします。

電話での問い合わせの場合には

  • 動物の種類
  • 年齢
  • 体重
  • 食べてしまったもの
  • 食べてしまったもののサイズ・量
  • いつ食べてしまったのか

をお伝えいただくとスムーズに状況を把握できます。

そして動物病院に向かう際には

  • (残っていれば)食べたものの残り
  • (あれば)食べたものと同じもの
  • 市販のものであればパッケージなど内容物がわかるもの

をご持参ください。

動物病院ではどのように対処するの?

動物病院では食べてしまったもののサイズや状態、食べてからの経過時間や画像検査(レントゲンやエコー検査)から総合的に判断して対処を決めていきます。

対処の方法は大きく分けて4つです。

  1. 薬を使って吐かせる(催吐処置)
    メリット:麻酔や手術(お腹を切るなど)の必要がない
    デメリット:必ず吐くわけではない
          胃にあれば吐かせられるが腸に流れてしまっていたら選択できない
          食べたもの(鋭利なもの)によっては選択できない
    費用:5,000円~10,000円ほど
  2. 内視鏡を使って取り出す、洗浄する
    メリット:手術(お腹を切るなど)の必要がない
    デメリット:麻酔をかける必要がある
          内視鏡鉗子(小さいマジックハンドみたいなもの)でつかめないもの、大
          きすぎるものやつかむとちぎれてしまうようなものは取り出せない
    費用:100,000円前後
  3. 手術で取り出す
    メリット:確実に取り出せる
    デメリット:麻酔をかける必要がある
          侵襲性が高い(体へのダメージが前2つに比べて高い)
    費用:200,000円~(手術の状況によりかなり高額になる可能性もある)
  4. 処置をせずに経過を見る、点滴や内服で吸収を防ぎ排泄を促す。
    メリット:処置による体や費用の負担が少ない
    デメリット 中毒性のものであれば時間経過により状態が悪くなっていく可能性がある
          時間経過により負担が少ない処置である1,2を選択できなくなる可能性がある
          状態が悪くなってしまった場合には結果的に1~3の処置や入院点滴治療にな
          るので結果的に治療費が高額になりがち
    費用:2,000円~3,000円(ただし状況が悪化してしまった場合には上記のような高額のお支払いになる可能性も!)
          

放浪獣医師のハチとして強くお伝えしたいこととして動物病院へ早く行くことで選択できる治療の幅が広がりかつ、動物への負担が少ない治療を選択できる可能性が上がるということです。

病院に行くのはできるだけ早めに、時間の目安は食べてしまってから2~3時間以内には来ていただきたいです。
2~3時間すると胃に入ったものは腸へ送られてしまうため先に紹介した吐かせる処置や内視鏡で取り出すといった手段が取れなくなるからです。

まとめ

自分では安全性が確認できないものを大事なご家族が食べてしまった場合にはまずは動物病院に相談しましょう。
そしてできるだけ早めに動物病院を受診しましょう。
そうすることで結果的にご家族にとって負担が少なく安全な治療を選択することができるのです。

また、かかりつけ動物病院の休診日や夜間緊急時に備えて、家の周りの動物病院の診察日や夜間診察対応状況を事前に確認しておきましょう。

本記事が少しでも皆さんとご家族の充実した動物ライフの一助になれば幸いです。放浪獣医師のハチでした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました